何かを深く続けていくこと。
長編小説の書き直しが始まった。
まずはこの3日間が勝負だ。
青いはずの空は灰色に見え、
梅雨前の冷たい風には血の匂いが混じり、
遠くでは絶望が手招きしている。
お前は深くまで潜って行けるのか?
お前はその重い重力に耐えきれるのか?
お前にはそれを書ききるだけの力があるのか?
他方では誰かが僕を励ます。
お前はお前の、独自のリズムと文体を、
その手できちんと掴みとるんだ。
絶望したところからが本番だ。
だから足を止めちゃいけない。
苦しいのに書くのは
書かない方がもっと苦しいからだ。
苦しいのに走るのは
走らない方がもっと苦しいからだ。
自分の才能をどこまで信じて、どこまで疑えばいいのか。
自分の身体をどこまでいたわり、どこまで追い込めばいいのか。
自分の物の見方をどこまで広めて、どこまで狭めればいいのか。
そういった、一つひとつのことを
僕は物語を書くことで探求しているのだと思う。
僕が物語を書くことを求め、
物語も書かれることを僕に求めている。
本当にそうなのか?
物語は僕に書かれることを望んでくれているのだろうか?
それは君と僕との関係に少し似ている。
僕は君を求めているけれど、
君は僕を求めてくれているかは分からない。
でもきっと、
君なしでは僕ではないように
僕なしの君もまた君ではない。
そうも思う。
だからきっと僕は物語を書くのだと思う。
そして、また僕は明日も潜り、また戻ってくるんだろう。
君なしでは僕ではないように、
文章なしでは僕は自分を、
定位することすらできないのだから。
まったく。
なんて面倒な性格を持ってしまったんだか。
それでも今は進むしかない。
なぜならここは、
進むしかできない場所なのだから。
そういう場所まで、
来てしまったのだから。
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