それぞれの場所で。
僕は僕なりに
君は君なりに
僕らはそれぞれに
日々を描いている。
それはもはや
干渉しあわない
そんな距離にあるけれど
今だって時々
春の気配やなんか
花粉やなんかを感じると
僕は思い出す。
視線や声やその右手とか
今ではもう届かないものばかり。
でもそこに、帰りたいとは思わない。
懐かしさはまだ多少、残ってはいるけれど
そこに戻りたいとは思わない。
なぜなら僕らには大切な記憶があるから。
お互いがお互いに勝手に切り取った記憶がある。
それだけあればきっと充分だろう。
僕はここで頑張っている。
君もそこで頑張っている。
その事実と、あのときのわずかな記憶。
それがあればきっと充分なはずだ。
春はいつも優しくて、少し残酷。
静かな夜に、互いの健闘を祈る。
さてと。
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